サイバーセキュリティ分野で人材が不足している。しかも、事態は悪化するばかりだ。ある予測によると、サイバーセキュリティ分野では2021年までにおよそ350万人分の人材が不足になるという。しかも、サイバーセキュリティ分野への就職志望者のうち、能力のある候補者は4分の1にも満たないというのだ。
だからこそ、大企業は移動式のトレーニング・トラック や見習い制度といった長期対策に投資している。そうした中でテキサスA&M大学は、短期間に人材不足を解決する方法を見つけた。セキュリティ初心者の学生と人工知能(AI)ソフトウェアとのペアリングである。
テキサスA&M大学のセキュリティ・オペレーション・センターは、大学のシステムを狙った毎月約100万回ものサイバー攻撃に対処しなければならない。センターには常勤の職員もいるが、セキュリティ担当者の大半が学生で成り立っている。現在10人の学生が、AIソフトウェアとの共同作業によって脅威を監視・検出し、対策を講じている。
学生にとっては就職前のトレーニングになり、大学にとっては低賃金でサイバーセキュリティの職員を雇っていることになる。さらに、テキサスA&M大学は他の多くの組織のように、サイバーセキュリティの人材不足問題に悩まされることもない。「本学では、これまでに職員を募集したことは一度もありません」とセキュリティ・オペレーション・センターのダニエル・バシレ事務局長は述べる。「全員の学生が、外部からの情報によってセキュリティ・オペレーション・センターのことを知ったのです」。
セキュリティ・オペレーション・センターでは学生が出勤すると、最初に大学の各学部が直面している、潜在的な脅威の数が表示されたホワイトボードを見 …