KADOKAWA Technology Review
×
【本日最終日!!】20%オフで購読できるキャンペーン実施中
分子コンピューティングへの一歩、DNA回路の挙動を実証
Rawpixel | Unsplash
ニュース Insider Online限定
DNA-based molecular computing will pave the way for programmable pills

分子コンピューティングへの一歩、DNA回路の挙動を実証

シカゴ大学の研究者が、生体細胞が環境を感知したり、感知した情報を伝達したりする際に使用する分子信号の変化を測定する方法を開発し、分子回路の挙動をシミュレーションで実証した。将来的には、細胞から特定パターンの信号を受け取ったときにだけ薬剤を送達するDNA折り紙の錠剤などへの応用が考えられる。 by Emerging Technology from the arXiv2018.10.23

生体細胞が複雑な信号システムを使って環境を感知したり、感知した情報を内部や周辺に送ったりしていることは科学者の間では以前から知られている。この信号システムには、特定のシグナル伝達分子、同分子の濃度、濃度の経時変化といった要素が組み込まれている。

原理は単純だが、システムは極めて強力で複雑であることが分かっている。そのため、信号を解読するのは難しい。問題の1つは、シグナル伝達分子を見つけたり、その濃度変化の様子を測定したりすることの困難さにある。

たとえば、ガンマ線により哺乳類の細胞が傷付けられると、核内タンパク質p53の放出が促される。この際のp53は多くの高速パルスで放出され、細胞の活動を止め、損傷を調べることを促す。この過程は「細胞周期休止」と呼ばれる。

これに対し、紫外線放射では長めの単一パルスが発生し、即座に細胞死が引き起こされる。しかし放出されるp53の総量は、双方の場合で同じことがある。

現代の分子センサーはこの違いを区別できない。それはモールス信号の受信機でラジオ番組を聴くようなものだ。送信機が稼働しているかどうかは分かるが、番組の内容は分からない。

そのため、生物学者たちはこれらの分子信号を測定する優れた方法を切実に必要としている。

シカゴ大学のジャクソン・オブライエン研究員とアルビンド・ムルガン助教授の2人は、強力な分子コンピューティングの手法を使って分子信号の変化を測定する方法を開発した。2人のアプローチは、分子のシグナル伝達を調査・探究するための新たな方法の構成要素を生成し、「アナログの分子コンピューティングによる時系列パターン認識の基礎となるもの」という。

オブライエン研究員とムルガン助教授の研究を支える新たなテクノロジーは、合成生物 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. How a top Chinese AI model overcame US sanctions 米制裁で磨かれた中国AI「DeepSeek-R1」、逆説の革新
  2. OpenAI has created an AI model for longevity science オープンAI、「GPT-4b micro」で科学分野に参入へ
  3. 10 Breakthrough Technologies 2025 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版
▼Promotion
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る