発効要件満たしたパリ協定は
ただの紙切れに過ぎない
パリ協定の発効に必要な条件を満たされたが、本当に大変なのはこれからだ。 by Jamie Condliffe2016.10.07
気候変動に関するパリ協定の発効に必要な「地球の炭素排出量の55%を占める55カ国の批准」の条件が、ついに満たされた。
昨年12月、COP 21気候会議で195カ国がパリ協定に署名したが、各国は国内で承認を受けた上で、最終的な批准書を国連に提出しなければならなかった。今週初め、欧州議会は投票でパリ協定の批准を決定したことで、欧州連合と7つの加盟国が協定を批准した。カナダ、ネパール、インドも批准した。
各国の批准(日本は批准していない)により、発効に必要な条件が満たされた。現在、世界の二酸化炭素排出量の56%以上を占める73カ国が協定に署名したことで、11月4日に発効の見込みだ。
協定の発効は、国連の潘基文事務総長の願いそのものだった。2週間前、潘基文事務総長は、国連総会の会議場で、パリ協定が今年批准されることに「これまで以上の自信がある」と話した。潘基文事務総長の願いは実現し、ニュースに接したオバマ大統領は、パリ協定の発効は”gives us the best possible shot to save the one planet we got”(我々の唯一の星を救う、随一の試みになる)」と述べた。(韻が決まってるぜ、バラク)
さて、このあとが大変だ。地球の気温を、協定に書かれている通り2度以上上昇させないことを保証する道のりはいまだに遠い。結局のところ、この協定は1枚の紙切れと大差ない。人類を、人類自身から救うには、地方と中央政府による行動が必要なのだ。
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クレジット | Photograph by How Hwee Young | Getty |
- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。