AIには「常識」が足りない
DARPA新コンペの狙い
人工知能(AI)の強力な手法である深層学習を使ったシステムでも、未だに愚かな誤りを繰り返している。その大きな理由の1つが、「一般常識の欠落」だ。米国防高等研究計画局(DARPA)は、AIの重大欠陥を改善すべく、新たなコンペを実施することを発表した。 by Will Knight2018.10.15
どんな用途であれ、人工知能(AI)は必ずと言っていいほど人を笑わせるような誤りを犯すものだ。「誰かと一緒にディナーを食べること」と「誰かをディナーとして食べることと」を混同する翻訳アルゴリズムによる滑稽な誤りは、その典型例と言える。
だが、AIが、車両の自動運転や医療診断、知識情報をもとにした生死に関わる判定などの重大な状況にますます利用されていることを考えると、失敗はもはや笑い事では済まない。そこで、米国防総省の研究機関である米国防高等研究計画局(DARPA)が現在、AIのもっとも根本的な欠陥である「一般常識の欠落」に取り組んでいる。
「一般常識は、人工知能における暗黒物質(未知の物質)です」と語るのは、シアトルを拠点にAIの限界を探求する非営利研究団体「アレン人工知能研究所」のオレン・エツィオーニCEO(最高経営責任者)だ。「ちょっと言いにくいことですが、AIに一般常識が欠落している影響は至る所で見て取れるはずです」。
DARPAの新たな「マシン・コモンセンス(MCS)」プログラムは、AIアルゴリズムに以下に示すような質問の意味を理解することを求める競技会を開催する予定だ。
コンピューター・プログラムがこの質問に取り組むためには、光合成の仕組みをある程度 …
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