世界でもっとも安全な自律自動車を開発しているのは、アルファベット(グーグル)傘下の自律運転開発会社ウェイモ(Waymo)かもしれない。ウェイモは現在、自律運転車の世界最長走行距離記録を持つ企業だからだ。だが近年、ウーバー(Uber)やテスラ (Tesla)が引き起こした重大事故の影響で、黎明期にある自動運転技術への信頼は崩れつつある。単に公道での走行距離を延ばすだけでは信頼回復には至らないだろう。
だが、10月10日のウェイモの発表は、2009年以降、1610万キロ以上の走行距離を達成したことだけでは終わらなかった。さらに毎日、実際の道路での走行距離と同じ距離を、現実世界を模した広範なバーチャル世界の中で走行していることも発表したのだ。これは2万5000台の車が毎日24時間走行する距離に匹敵し、ウェイモはすでに合計97億キロ以上を実質的に走行していることになる。
安全性を実証する取り組みの中で、この仮想試験走行コースは、非常に重要な存在だとウェイモのドミトリ・ドルゴフ最高技術責任者(CTO)は語っている。バーチャル走行のおかげで、エンジニアは、実際の道路では見られなかった状況を含む、さまざまな新しいシナリオの下で、最新のソフトウェア・アップデートを試験できる。また、猛スピードで無謀運転する他車といった、実際に設定するには危険すぎるシナリオも試験できる。
「人が車から飛び降り、交通規則を無視して道路を横断するというシナリオをテストしているとします。どこかの時点で、このシナリオを現実世界でテストすることは危険になりますよね。そのときに大活躍するのが、このシミュレーターなのです」(ドルゴフCTO)。
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