脳トレアプリは、脳に楽しさや気晴らし以上の訓練効果があり、認識能力を根本から確実に進歩させると宣伝している。しかし、誰もが心の中で疑問に思っていることがある。脳トレは本当に効果があるのだろうか。
ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)によれば、7人の心理学者が2年を費やし、ルモス・ラボやポジット・サイエンスといった世界をリードする脳トレアプリの開発元が参照する374の科学的研究について調査した。
結果はどうだったか? 研究者によると、脳トレ系のゲームをすれば、ユーザーは明らかにゲームをプレイするのは上手になる。しかしサイコロジカル・サイエンス・イン・ザ・パブリック・インタレスト誌(PSPI)に掲載された研究によれば「トレーニングによって、関係する作業のパフォーマンスが上がったり、普段の認識能力が改善されたりする証拠はほとんどない」という。
PSPI掲載の調査では、参照先の研究それ自体に問題があり、多くの研究は明確な結論を引き出せないようになっていた。最終的な結論はかなり明確だ。
「脳のトレーニングは現実世界の認識能力を高める効果的なツールだ、という主張を正当化する十分な証拠はいまだに現れていない」
PSPIの研究は他のアカデミックな心理学者に好意的に受け入れられた。アトランティック誌への回答でノースカロライナ大学のマイケル・ケイン教授は研究成果を「偉業」と呼び、オレゴン大学のウルリッヒ・マイア教授は「抜け落ちているものは何もありません(略)証拠は当然です」と述べた。
アプリのメーカーは予想通り、やや弁明的だ。USAトゥデイ誌に対し、ルモス・ラボのエリカ・ホウ(広報担当)は、脳トレーニングのソフトウェアは「何十年にもわたり発展してきた研究を活用していますが(略)新規かつ急速にイノベーションが起きている分野の最先端では(略)弊社がまだ知らないことはたくさんあります」といった。
デイリーニューズ紙の記事でヴァージニア大学のダニエル・ウィリンガム教授(心理学)は、研究成果を一般人向けに手際よくまとめている。「あなたは少し頭の回転が遅くなったと心配する年老いた父親に何と言うべきでしょうか? 活発な精神状態を維持するのは、いつでもいい考えです。もしゲームを楽しむのが好きなら、ゲームをプレイしても害はありません。しかし単純な作業で頭がよくなることは、願望であって現実ではありません」
(関連記事:NPR, The Atlantic, Psychological Science in the Public Interest, “Brain Training May Help Clear Cognitive Fog Caused by Chemotherapy”)