KADOKAWA Technology Review
×
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
Google is Building a Robotic Hive-Mind Kindergarten

グーグルの集団思考ロボット
まずはドアの開け方を学習中

他のロボットの学習内容をダウンロードすることで複雑なタスクをこなすロボットをグーグルの研究者が試験中。 by Will Knight2016.10.04

何台のロボットがあれば、ドアを開けられるだろうか。ロボットがゼロからドアの開け方を理解するには、できるだけ多くのロボットが関わった方がいい。

月曜日、ネット上に個別に掲載された3本の研究論文で、グーグル等のアルファベット系企業に所属する研究者は、個別の学習体験を共有することで、ロボットは簡単なタスクをより短い時間で学習できることを示した。

研究者は、試行錯誤を正のフィードバックと結び付ける「強化学習」と呼ばれる手法で、産業用ロボットの一団が簡単なタスクをこなせるように訓練している。当面は、ドアを開けたり物体をあちこちに動かしたりする極めて簡単なタスクが対象だが、やがては洗濯物をたたんだり、皿を洗ったりする毎日の雑用をロボットにさせる最初の一歩になる研究だ。

Four robots practice opening different doors.
4台のロボットが別々にドアの開け方を練習中

ロボットは、より安価で有能になっているが、予測不可能な日常のさまざまな場面で確実に動作するようにロボットをプログラムするのは、ほぼ不可能な話だ。強化学習は、ロボットが実地で学びながら、基本的には自らをプログラムすることで、この課題の解決策になる。しかし、1台のロボットに日常生活で起きるさまざまな動作を試行させるのはとても時間がかかる。初期段階にとどまるアイデアだが「クラウド・ロボティクス(cloud robotics)」とも呼ばれる学習過程の共有手法により、学習の進捗が速まりそうだ(参照 “10世界を変えるテクノロジー10:相互学習ロボット”)。

月曜日に発表された3つの論文でロボット学習の取り組みを指揮するグーグルのセルゲイ・レビン科学研究員のチームは、グループ化されたロボットに訓練を分散できる学習戦略について詳述している。

どの場合でも、分散学習に加わるロボットは、それぞれの動作結果の予測にニューラルネットワークを使う。ロボットは動作はそれぞれ若干異なるため、ロボットによって発見されるドアを開ける方法はひとつだけとは限らない。ニューラルネットワークはその後定期的にすべての学習内容を中央サーバーに送信し、クラウド上で新しいニューラルネットワークが構築され、次の訓練のためにロボットに戻されて、分散学習がくり返される。

実験には4段階ある。最初の実験の目標は、ドアノブを回してドアを開けることだ。4台のロボットは、別々のドアとドアノブの組み合わせで「ドアを開ける方法」を練習する。「ロボットは、それぞれが別の見た目のドアで訓練され、最終段階で、どのロボットも以前に見たことがないノブの付いたドアを開けられれば成功です」と執筆者(レビン研究員のほかに、グーグル子会社ディープマインドのティモシー・リリクラップ研究員、グーグルのX(極秘施設で進められている挑戦的プロジェクト)に従事するミリナル・カラクリシュナ研究員が共同で執筆)はブログの記事に書いた。

第2段階では、ロボットの学習過程は、人間がロボット・アームを動かし、するべき動作を覚え込ませたおかげで素早く進んだ。第3番段階では、カメラ映像を使って、ロボットに、どのような動作が周囲の状況を変えるのか(研究者は世界の簡単な物理的モデルを記述した)を予測する獲得能力を使って、物体の動かし方と回し方を習得した。ロボット学習を研究するブラウン大学のステファニー・テレックス助教授は、この考えにはワクワクさせられる、という。

「何かを押したときの物理的影響の予測に私がワクワクするのは、ロボットに、世界はどうなっているのかを理解させられるからです」

グーグルは明らかに、機械学習手法の応用により、人間の日常生活にロボットを介在させる分野に起きる革命を最大限に活用することに乗り気でいる。すでに一部のロボットメーカーは、強化学習で製品のプログラミングを効率化する方法を検討している

「もちろん、ロボットが現在学べる行動は、いまだにかなり限定的です。しかし、アルゴリズムが向上し、ロボットがさらに広く普及すれば、経験を共有し共同利用するロボットの能力は、ロボットが日常生活において私たちの役に立つ手段となる可能性があります」

人気の記事ランキング
  1. A new US phone network for Christians aims to block porn and gender-related content ポルノもLGBTも遮断、キリスト教徒向けMVNOが米国で登場
  2. Musk v. Altman week 1: Elon Musk says he was duped, warns AI could kill us all, and admits that xAI distills OpenAI’s models 「オープンAIを蒸留した」マスク対アルトマン第1週、法廷がざわめく
  3. Will fusion power get cheap? Don’t count on it. 核融合は本当に安くなるのか? 楽観論に「待った」をかける新研究
ウィル ナイト [Will Knight]米国版 AI担当上級編集者
MITテクノロジーレビューのAI担当上級編集者です。知性を宿す機械やロボット、自動化について扱うことが多いですが、コンピューティングのほぼすべての側面に関心があります。南ロンドン育ちで、当時最強のシンクレアZX Spectrumで初めてのプログラムコード(無限ループにハマった)を書きました。MITテクノロジーレビュー以前は、ニューサイエンティスト誌のオンライン版編集者でした。もし質問などがあれば、メールを送ってください。
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る