この世界はデータであふれている。だが、DNAを使えば、その膨大なデータを極めてコンパクトに保存できる。たとえば、地球上にあるすべてのiPhone、PCおよびサーバー・ラックの中に保存されたデータは、ジャグジー1杯分の遺伝文字(塩基)の中に収められる。さらに、DNAは耐久性にも非常に優れている。比較的涼しく乾燥した場所に保管すれば、何千年という期間にわたり保存することが可能だ。
この真新しい産業のスタートアップ企業の1つが、ストレージ・デバイスのプロトタイプの開発に向けた計画を明らかにした。そのデバイスはスクールバスの大きさを持つ巨大な機械だが、いつの日か映画やデータ書庫を、目に見えないほど小さいDNAペレットに変換できるかもしれない。カタログ・テクノロジーズ(Catalog Technologies)と英国企業のケンブリッジ・コンサルタンツ(Cambridge Consultants)は10月2日、このデバイスを共同開発していることを発表した。
すでに複数の研究チームが、GIF画像や書籍、ギフトカードおよびその他のデータをDNAに保存したり、DNAに保存したファイルを読み出したりすることが可能であることを明らかにしている。
問題なのは、データをA、G、C、Tの遺伝暗号に変換するのに時間がかかり、そのデータ情報を読み出すのが骨の折れる作業である点だ。カスタマイズしたDNAを製造する費用も高く、高解像度のDVD2枚分のデータを保存するのに100万ドル近くかかる。
カタログ・テクノロジーズは、同社のシステムの費用が従来よりも安いことを主張している。同社は、独自のDNA鎖を合成する代わりに、あらかじめ作られた安価な短いDNA鎖を組み合わせて、情報を保持する長いDNAに変えるプロセスを用いる。
カタログ・テクノロジーズの最高経営責任者(CEO)兼共同創業者であるヒュンジュン・パクは、上記のプロセスを、昔ながらの活版印刷機で金属製の活字を組み合わせて言葉に変えるプロセスに喩える。
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