オキュラス年次会議を「VR取材」 使って分かった残念な現実
実質現実(VR)ベンダーが有望性を喧伝し続けているにもかかわらず、VRテクノロジーはいまだに有意義な形で実用化されてはいない。MITテクノロジーレビューの上級編集者が、VRヘッドセットを用いて、オキュラス(Oculus)の開発者向け会議に自宅からバーチャルに参加し、使い勝手を試した。 by Rachel Metz2018.09.28
オキュラス(Oculus)主催の実質現実(VR)開発者向け年次会議が9月27日に、カリフォルニア州サンノゼのコンベンションセンターで開幕した。私は最前列に座っていた。
いや、実際に私が座っていたのは、カンファレンス会場から80キロメートルほど離れた自宅のソファーであった。オキュラスのローエンドのオールインワン型VRヘッドセットであるオキュラス・ゴー(Oculus Go)を装着し、オキュラス・ベニューズ(Oculus Venues)アプリを利用してバーチャルにイベントに「参加」したのだ。オキュラス・ゴーを被っていると、自分が他のバーチャルな出席者たちに囲まれて暗い会場の中にいるのが見えた。私たちは皆、オキュラスの親会社であるフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)や他の幹部たちが、最新のVR開発について語るのを見ていた。
VRとは人を結びつけるものであり、孤立させるものではないと、オキュラスは長年にわたって約束してきた。しかし、VRテクノロジーはまだ有意義な形では実用化されていない。特にソーシャルな交流ではそれが顕著だ。あなたの友人のほとんどは、おそらくVRヘッドセット(あるいはVRゴーグル)を持っていないので、VRで一緒に遊ぶ人を見つけるのさえ難しい。稀な例外を除いて、離れていても一緒にいるように感じることができるアプリは少ない。
だが、イベントやコンサート、映画は、VRが模倣しやすい、異なる種類のソーシャルな交流を提供できる。オキュラス・ゴーのコントローラーを片手に持ち、もう片方の手でVRに適したスナック(グミやポップコーン)をつまみながら、自宅の居間でプライバシーを保ちつつ、オキュラスの年次会議を見るのは、私にとって1つの実験であった。通常、このような大きなテクノロジーのイベントで味わえる興奮やソーシャルな交流と同じものを、会場に行かずに得られるのだろうか。家にいて同じ体験ができるのであれば、ベイエリアの渋滞の中、約4時間運転しなくてもよくなる。私は肯定的な答えが得られることを期待していた。
VRでオキュラスの年次会議を見るためには2つの選択肢があった。プライベート設定か、それぞれVRデバイスを装着して参加している他の人を表すアバターと一緒に見る設定(パブリック設定)かである。私はパブリック設定を選び、緑の髪と緑のヒゲを持つアバターを作成した。イベントは最初、大部分が男性であろうと思われる、数十人のアニメ風アバターで賑わっていた。バーチャルな座席の上に浮かんでいるアバターは、上半身と片手だけが表示されていた。現在のとこ …
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