ゲイツ・ファンドが投資する
「地熱」ベンチャーの中身
ビル・ゲイツのクリーン・エネルギー・ファンドは、送電網向け蓄電、バイオ燃料、核融合発電などに加えて地熱発電にも初めて投資を決めた。より効率のよいクリーン・エネルギー技術の開発が期待される一方、飲み水や地震への影響も懸念される分野でイノベーションを起こせるか。 by James Temple2018.10.17
ビル・ゲイツによる10億ドルのクリーン・エネルギー支援ファンドはつい最近、地熱発電に初の投資をした。9月26日、ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ(Breakthrough Energy Ventures)は高まる気候変動の脅威に対抗するテクノロジーを開発中のスタートアップ企業への投資を発表した。
地熱発電の初の投資先として選ばれたのは、カリフォリニア州バークレーを拠点とするスタートアップ企業「ファーボ・エナジー(Fervo Energy)」である。水圧破砕法技術を地熱産業に応用することで、地球の潜熱をより多くのクリーンなエネルギー源に変換しようとしている企業だ。
このテクノロジーが狙い通りに働けば、既存の地熱発電所の電力生産増強や、まったく新しい地域での地殻内の熱利用が可能になる。地熱発電量が増大すれば、よりクリーンなエネルギー生産システムへの大幅な移行が実現しやすくなるかもしれない。電力量が変動しやすい風力発電や太陽光発電と違い、地熱発電は常時安定したエネルギー供給が可能であり、必要に応じて電力の増産にも対応できるからだ。
最初にWebメディアのクオーツ(Quartz)が報じたブレークスルーの投資先企業の新しいリストは、その後、同ファンドのWebサイトに掲載された。掲載された企業は、送電網向け蓄電システムを手がけるスタートアップ企業のフォーム・エナジー(Form Energy)、固体電池企業クアンタムスケープ(QuantumScape)、マサチューセッツ工科大学(MIT)のスピンアウトとして核融合発電に取り組むコモンウェルス・フュージョン・システムズ(Commonwealth Fusion Systems)、バイオ燃料企業DMCバイオテクノロジーズ(DMC Biotechnologies)、窒素肥料の代替製品開発に取り組むピボット・バイオ(Pivot Bio)、二酸化炭素をコンクリートに貯蔵するカー …
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