ビットコインのブロックチェーンは、人々が銀行や政府を必要とせずに金融取引を行なうための手段として発明された。サトシ・ナカモトの発明の基礎から着想を得た、暗号化された分散型台帳であるブロックチェーンはいくつも存在するが、各国政府によって所有されている世界銀行が世界最大の後援者であるというのは皮肉なことだ。だが、世界銀行テクノロジー・イノベーション・ラボに勤めるプリマ・シリクリシュナに言わせれば、これは道理にかなったことなのだ。シリクリシュナの所属する世界銀行が最近ローンチしたブロックチェーン・ラボの目標は、「人々の手に力をとり戻す」だからである。
ラボの取り組みはまだプロセスの最初期にすぎないが、教育や金融サービスにおける実験や、農業や製薬のサプライチェーンをトレースしようという取り組みは、すでに価値のある成果を生み出している。シリクリシュナは9月13日に開催された、MITテクノロジーレビュー主催のカンファレンス「EmTech(エムテック)」でそう語っ …