伝説のNBA選手から分かった、多遺伝子リスクスコアの「使いどころ」
生命の再定義

Biologists checked out this NBA player’s DNA for clues to his immense height 伝説のNBA選手から分かった、多遺伝子リスクスコアの「使いどころ」

ゲノムにおける特徴から、その人物の特徴を予測する新しい手法「多遺伝子リスクスコア」が盛んに議論されている。同手法による予測はあやふや過ぎて実用的ではないとする意見が多いが、とてつもなく背の高い人のような統計的な外れ値を持つ人を特定できる可能性がある。 by Antonio Regalado2018.09.13

1993年のNBAドラフトにおいて、ショーン・ブラッドリーがブリガムヤング大学のドラフト1位指名選手となった時、大きな話題になった。ブラッドリーの身長が約2.3メートルだったからだ。

ブラッドリーの身長は、前年にドラフト指名を受けたNBAスーパースターのシャキール・オニールの身長より約13センチメートルも高い。ブラッドリーは、ジャンプせずにリングに触れることができた。

ブラッドリーのDNAを調べた研究者によると、彼の背がこれほど高い理由が解明できたという。

ブリガムヤング大学の研究チームによると、ブラッドリーは、珍しい遺伝子突然変異や、プロレスラーのアンドレ・ザ・ジャイアントのような下垂体疾患は持っていないという。

その代わりにブラッドリーは、遺伝的な幸運をつかんで、全く正常な遺伝的なバリエーションの組み合わせを受け継いだことで、他の99.99999%の人々より背が高くなったようだ。

(分かりやすく言えば、ブラッドリーよりも背が高い人を見つけるには、1000万人もの人々を集める必要があるということだ)。

ブリガムヤング大学の生物学者であるジョン・カウウェ教授は、飛行機でファーストクラスへのアップグレードを受けた後、ファーストクラスのゆったりとした座席にぎこちなく狭そうに座るブラッドリーに気付いた。二人は話し始め、カウウェ教授がブラッドリーのDNAを調べたいと言うと、ブラッドリーは研究対象になることを承諾した。

カウウェ教授の率いる研究チームは、多遺伝子リスクスコアと呼ばれる新しいテクノロジーを …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。