2030年までに、新型の小型原子炉が英国で稼働するかもしれない。この小型炉は原子力発電の未来を担うとずっと言われてきたテクノロジーを使う。
名前の通り、小型原子炉は通常の原子力発電所よりも小さく、発電量は最大で300メガワット。サイズが小さいので、小型原子炉の建設と設置は通常の原発より簡単で、安全性は同等である。理論上、小型炉は熱と電気の両方を地域に供給できる。
英国政府所管のエネルギー・テクノロジーズ研究所(ETI)の最新の報告(英国が新型の小型原子炉の採用にあたり、どのような長期計画で進めるのが望ましいのかを概説している)で、2030年までに、小型炉を運用できると予測した。長期計画どおりに進めるには、小型炉の事業運営者と製造設計者、政府間で来年には協議を始める必要がある。
ただし、ガーディアン紙の報道では、計画の実現には小型炉テクノロジーの採用を英国政府が推進した場合に限るとETIは注意を促している。世界は二酸化炭素を排出しない持続可能な電力源を切実に求めているが、小型原子炉は、他のあらゆる原子力発電テクノロジーと同様、十分に実現の可能性がある。しかし、原子力発電所の安全性に対する不安は、投資家が怖気付かせ、小型原子炉のコストを上昇させる。報告書の著者であるETIのマイク・ミドルトン戦略部長は「計画の予定を守るのに最も重要なのは、投資家が自信を持てるような適切な環境を整えることです」という。
小型原子炉が完成しても英国が米国との差を埋めるにはまだ不十分だろう。今年初めにテネシー川流域開発公社(TVA)は米国内に最初の小型原子炉を建設許可を申請した。この小型炉の設置に関する詳細は未確認だが、すべて計画通りに進めば、米国初の小型原子炉は2020年代中頃に運用が始る見込みだ。
(関連記事:The Guardian, Energy Technologies Institute, “Small, Modular Nuclear Plants Get Their First Chance in the U.S.,” “Can Small Reactors Ignite a Nuclear Renaissance?”)