いつの日か、量子コンピューターが最強の古典的スーパーコンピューターを遥かに超えた速度で計算を実行するようになるかもしれない。しかし、今のところは、量子コンピューターの構築と保守には莫大な費用と大きな困難がついて回っている。
そこで、ここ数年、数少ない量子コンピューターの一部を、クラウドを介して研究者や企業が利用できるようにするサービスを提供する企業が現れて始めている。
量子コンピューターのスタートアップ企業であるリゲッティ・コンピューティング(Rigetti Computing)は、このほど、同社の既存サービスを基盤とする新たな「量子コンピューティング・サービス(Quantum Computing Service:QCS)」を発表した。QCSは、クラウドにおける量子プログラミング向けのソフトウェア・ツールキット「フォレスト(Forest)」などを含んでいる。リゲッティは、「量子アドバンテージ(量子有利性)」と呼ぶ課題を量子コンピューターが達成できることを、QCSを利用して実証した最初の個人またはチームには100万ドルの賞金を与えるとしている。
リゲッティの定義によれば、量子アドバンテージの実証とは、重要で価値のある問題において、量子コンピューターの方が古典的コンピューターよりも高品質で高速に、または安価に解決策を見い出せるのを示すことだ(リゲッティはコンテストの詳細を10月30日に発表するという)。
リゲッティは、最近、世界で最も強力な量子プロセッサーも発表した。このプロセッサーは、これまでの記録保持者であるグーグルの72キュービット・チップ「ブリッスルコーン(Bristlecone)」を上回る128キュービットのモデルだ(MITテクノロジーレビューのキュービット・カウンターを参照)。ただし、QCSでは当初、16キュービット・チップしか使えない。サービスを利用できるのもリゲッティの特定の顧客とパートナーに限られるが、年内にはより広範に利用できるようになる。
量子コンピューティングがこれほど大きな熱狂を呼んでいる理由と …