ビットコインに迫る
「ウォール街デビュー」に
死角はないか?
ウォール街の企業がビットコインの取引に参入することを発表し、暗号通貨が金融市場の本流へ進出する可能性が高まってきた。だが、ウォール街で長い経歴を持つビットコインの熱烈な愛好家は、ウォール街企業がビットコインを従来の資産と同様に扱うと惨憺たる結果をもたらすかもしれないと指摘する。 by Mike Orcutt2018.09.12
時期尚早かどうかはともかく、ウォール街はビットコイン導入に向かっている。最近、ニューヨーク証券取引所の親会社で、米国の金融取引市場インフラを支える大手企業であるインターコンチネンタル取引所が、規制当局の承認を得た暗号通貨取引所を新設すると発表した。このニュースは、ビットコインに劇的な変化をもたらすかもしれない。だが(人によって捉え方は異なるだろうが)、その変化はあまり喜ばしいものではないかもしれない。
ビットコインが市場の本流により広く普及することを望んでいる人にとっては、かなり大きな進歩だ。インターコンチネンタル取引所は、ニューヨーク証券取引所を含む20以上の取引所やマーケット・サービス、手形交換所を傘下に収めている。控えめに言っても、金融界に非常に大きな影響力を持つ企業だ。同社がビットコイン導入に乗り出せば、機関投資家、すなわちヘッジファンドやファミリーオフィス(富裕層が家族のために雇う資産運用の専門家チーム)、ソヴリン・ウェルス・ファンド(政府が出資する投資ファンド)などの巨額の資金投資を目論む組織が後に続くだろう。こうした組織の多くはビットコインをはじめとする暗号通貨に興味を示してきたが、従来の市場インフラが存在しないため、これまで投資に踏み切れずにいたからだ。
一方で、ビットコイン推進派 …
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