欧米で死に体の原発産業、
生き残り戦略はあるのか
かつてカーボンフリー・エネルギー源として期待されていた原子力発電は、実際にはカネがかかりすぎることが分かり、新たな建設計画はほぼ姿を消した。天然ガス発電や風力・太陽光発電のコストが安くなる中、原子力発電の将来は非常に厳しいものになっている。 by James Temple2018.09.05
二酸化炭素を排出せず、かつ電力を24時間安定的に供給できる原子力発電は、電力産業を刷新する鍵となるかもしれない。だが、「原子炉を建設したい」という考えは、近頃では滅多に見受けられない。
原子力の未来を評価するMITエネルギー・イニシアチブの新たなレポートによると、「根本的な問題はコスト」だという。太陽光やその他エネルギーはより安価になってきているが、「新たな原子力発電所は、よりカネがかかるようになっている」と指摘する。
原子力発電所が寿命を迎えるまでに要する平均的エネルギーコストは、複合サイクル天然ガス発電設備、あるいは風力・太陽光発電基地に要するコストの2倍以上はかかる。加えて、アメリカ南部でボーグル(Vogtle)原子力発電所とバージル・C・サマー原子力発電所の両プロジェクトが派手に大失態を演じ、山のように膨らんだコストと作業の遅延によって東芝の原子力事業が破綻した。その結果、原子力発電所の建設事業に参入したがる企業や投資家は、ほとんど見られなくなった(「東芝の原子力事業崩壊は米国の原子炉新設と研究開発への大打撃になる」を参照)。
主な問題は、発電所の …
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