人間の視覚系をハック、「ゴースト・イメージ」の生成に成功
ランダムな光のパターンを物体に次々に照射して反射光の強度の時系列データを取り、パターンとの相関性を計算することで物体の画像を生成する「ゴースト・イメージング」の手法が注目されている。英ヘリオット・ワット大学の研究チームは、コンピューターを使わなくても、人間の視覚系がゴースト・イメージングの処理を実行できることを実験で示した。 by Emerging Technology from the arXiv2018.09.04
ゴースト・イメージングは、近年、光学の分野で起こった非常に驚異的な進歩の1つだ。ゴースト・イメージングは、単一素子のカメラと、対象の物体とまったく相互作用していない光を使用して高解像度の画像を生成する手法である。
ゴースト・イメージングでは、単一素子が検出した、一見ランダムな光の強度の時系列データを、賢いアルゴリズムを利用して高速で処理し、画像を生成する。以下で詳しく説明しよう。
説明を読んで、ゴースト・イメージングは人間の知覚とほとんど何の関わりもないと考える人がいても無理はない。なぜなら、人間の視覚系はこの種のデータを処理できないはずだからだ。
だが、そうではない。スコットランドのエディンバラにあるヘリオット・ワット大学のアレッサンドロ・ボッコリーニ博士と数名の同僚は、人間にゴースト・イメージが見えることを実証しており、この手法を用いて、視覚系をまったく新しい方法で研究し、活用する方法について提案している。
まず背景知識を説明しよう。ゴースト・イメージングでは、光のランダムなパターンを物体に照射して、反射した光の強度を単一素子で検出し、記録する。異なるランダムなパターンを使ってこのプロセスを繰り返し実施すると、時間の経過に伴う光の強度変化に対応する連続的な時系列データが得られる。
単一素子が検出する光の強度データは、時間の経過につれてランダムに変化すると考える人もいるかもしれない。だが、実際には、光は同じ物体に照射されて反射されるため、光のランダム・パターンと強度データの間には相関がある。したがって適切な方法でデータを処理すれば、相関関係を解明し、物体の画像を得ることができる。
ゴースト・イメージングにおけるデータ処理を、すべてコンピューターで実行する必要はない。1つの近道として、単一素子の信号を利用して、別の発光ダイオードが出力する光を変調する方法があ …
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