筋ジストロフィーにかかった犬に対して、クリスパー(CRISPR)を使ったゲノム編集が実施されている。その結果は「衝撃的」なものだ。
テキサス州の研究チームが最近、あるデータを公開した。そこには、新しい遺伝子編集ツールであるCRISPRにより、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの原因となる分子上の欠陥を修復するのに成功した様子が示されている。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは男児5000人につき1人の割合で発症する深刻な疾患だ(基本的に男児のみ発症する)。
テキサス大学サウスウェスタン医療センターのエリック・オルソン教授が中心となって実施したこの研究は、CRISPRを使い、私たちにとって身近な大型動物の疾患を治療しようと試みた初の事例の1つとなる。研究チームは、治療によって犬の筋ジストロフィーを止められれば、男児に対する治験の実施準備が整うだろうと述べている。
バイオテク企業はCRISPRを使い、サラセミアなどのヒトの血液疾患や肝疾患を治療したり、遺伝性眼疾患の原因を治したりする準備を進めている。だが、CRISPRの有用性を試す上でもっとも重要な疾患になる可能性があるのが筋ジストロフィーだ。CRISPRによる遺伝子治療にってもたらされる結果も最大のものになるかもしれない。その理由は筋ジストロフィーの発症率が比較的高く、ほぼ確実に死につながり、進行を止める治療法が存在しないためだ。
オルソン教授はかつて、CRISPRによって筋ジストロフィーを「治癒」できるかもしれないと述べていた。
8月20日の週、オルソン教授が率いるテキサス大学の研究チームは、最新の結果の一部を公開し始めた。チームの一員であるレオネラ・アモアシー講師は20日、米国立衛生研究所で開かれた学会で研究報告をした。筋ジストロフィーを発症する遺伝型を持って生まれた子犬に対し、生後1カ月の段階で血液中にCRISPRを注入した実験について説明す …