スマホやパソコンの画面が新聞に取って代わり、アメリカではイデオロギー的な分断がますます深まっている。だが、社会はシリコンバレーの力を借りずとも、何世紀にもわたって過激主義や分断化を経験してきた。米国における分極化は、24時間放送のケーブルニュースの登場以来、ずっと続いてきたことなのだ。では今日の分断化に対して、インターネットはどれほどの影響を与えているのだろうか。インターネットは本当に、世間で言われていているほど悪いものなのだろうか。
下の図は、ツイッターにおける米国の政治情勢をマッピングしたものだ。相互フォローしているアカウントをひと塊として表し、日常的にシェアしているコンテンツの種類によって色分けしている。一見するとおかしなところは見られないかもしれない。明らかなエコーチェンバー(同じような立場の情報にばかり接しやすくなってしまうメディア環境)は存在するものの、議員、報道関係者、政治および政策の専門家によるネットワークが絡み合い、両極に振れている部分もあるが、大きな中間層によってバランスが取られている。
しかし、以下の図が示すように、中間層は実は見た目よりもずっと弱い。ネット上での会話は、国内の過激派やロシアのような外国からの意見操作に対して脆弱なのだ。
分断される報道
ソーシャルメディアがもし、ニュースメディアに飽きた人が単なる気分転換で読むものならば、民主主義への影響は限定的だろう。だがハーバード大学バークマン・クライン・センター(Berkman Klein Center)とマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの研究者らが作成した「共引用(co-cit …