交差点に差し掛かった自動車が信号と通信したり、道路を横断しようとする歩行者を警戒したり、高速道路を時速105キロで走行中に自動車同士がコミュニケーションを取ったりできたら、運転はどれほど安全で、スムーズで、効率的になるだろうか。「C-V2X」と呼ばれるピア・ツー・ピア(P2P)の無線テクノロジーは、カメラやレーダーが捉えられない障害物を自動車に警告し、周囲の環境に接続する。将来的には自動運転にとって有益な技術になる可能性がある。
エリクソン、ファーウェイ、ノキア、クアルコムをはじめとする多くのテック企業は、2016年から「C-V2X(cellular-vehicle-to-everything)」の開発に着手しており、現在では小規模な実証実験を開始している。こうしたデモのほとんどでは、C-V2Xの専用チップセットとモデムを搭載した車やトラックを、人間が運転している。自動車は1秒間に10回の頻度で無線信号を送受信し、接近する歩行者、暴風、事故といった特定の情報を、ドライバーのフロントガラスまたはダッシュボードに警告としてポップアップ表示する。
8月14日にコロラド州で行われた最新のデモでは、自動車と信号を接続することで、信号が変わるタイミングをドライバーが正確に把握できる技術が披露された。将来的には、自動車同士、橋、料金所、工事看板、道路沿いのインフラなどとの間で情報をやり取りできるようになることが期待される。
C-V2X推進派は、データをやり取りすることで不運な事故を避けられ、渋滞の軽減や温室効果ガスの排出削減にもつながるという。喧伝しているのはもっぱらC-V2Xとチップ、関連機器、ソフトウェア販売によって利益を得ることになるテック企業だが、その一方で自動車メーカーの多くも強い関心を寄せている。大半の自動車メーカーは、すでに確立されている自動車テクノロジー(狭域通信のこと。後述)よりもC-V2Xを採用したい考えのようだ。
たとえばフォードは、これから発売される新型車にC-V2Xを …