KADOKAWA Technology Review
×

ニューズラインエマージング・テクノロジーの最新情報をお届け。

児童性愛者が喜ぶユーチューブの「おすすめ」機能、中止予定はなし
Associated Press
YouTube’s algorithm makes it easy for pedophiles to find more videos of children

児童性愛者が喜ぶユーチューブの「おすすめ」機能、中止予定はなし

児童性愛者(ペドファイル)たちが未成年者の性的な動画にアクセスするのをより容易にしている事実にもかかわらず、ユーチューブは子どもたちの動画への「おすすめ」機能を無効にしていない。

ユーチューブの自動レコメンドシステムは、肌の露出の多い服を着た思春期前の子どもたちの動画を集め、同様の動画を見たことのあるユーザーにおすすめしているとニューヨーク・タイムズ紙が報じている。特定の動画ではおすすめ機能の一部をオフにできるが、ユーチューブはこの機能を無くそうとはしていない。

あるブラジルの女性が、10歳の娘が裏庭のプールで友達と遊んでいる、一見無害に思える動画をアップロードした。数日後、ユーチューブの自動おすすめ機能により、この動画の再生回数は40万回にもなった。

ユーチューブは2月に、動画のコメント欄が児童性愛者たちの情報交換に使われているとの指摘を受け、子どもたちの多くの動画に対するコメントを無効にした。ユーチューブでは、13歳未満の子どもはアカウントを開設できない。ただし、数百万人のフォロワーがいる場合もある「家族ビロガー(ビデオブロガー)」への影響を懸念し、子どもの動画をおすすめで表示するのを中止するつもりはないという。ユーチューブは、ニューヨーク・タイムズの記事への返答として、子どもを危険に曝す可能性があるいくつかの動画ではおすすめ機能を「制限」しているとブログに投稿している

ユーチューブのもっとも重要な目的は、できるだけ長い時間、ユーザーの目を動画にくぎ付けにすることであり、同社のシステムにはそれが最優先で反映されている。実際、ユーチューブのアルゴリズムのおかげで、陰謀論極右関連の動画は、依然としてユーチューブ上で賑わいを見せている。結局のところ、ユーチューブはシステムを改修することでコンテンツ・クリエイターたちを混乱させるリスクが、児童性愛者たちにユーチューブを使わせないことの利益にまさると判断しているわけだ。

シャーロット・ジー [Charlotte Jee] 2019.06.05, 17:50
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューは有料会員制サイトです
有料会員になると、毎月150本以上更新されるオリジナル記事が読み放題!
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る