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広がる「VR研修」プログラム、解雇通知のバーチャル予行演習も
Talespin.
You can now practice firing someone in virtual reality

広がる「VR研修」プログラム、解雇通知のバーチャル予行演習も

バリーさんをご紹介しよう。バリーさんの人生のたった1つの目的は、実質現実(VR)において想像上の仕事から解雇される通告を受けたときに、忍耐強く話を聴き、それから少し反論したり、すすり泣いたりすることだ。

この「使い捨てのヒーロー」は、VRによる職場訓練を提供する企業テイルスピン(Talespin)によって生み出された。バリーさんや他のVRの登場人物は、たとえば騒動にならないようにしつつ解雇する技能などの「ソフトな」マネジメントスキルを教えるのを支援するために開発されたものだ。バリーさんに対してあまりにも粗暴な態度をとれば、バリーさんは両手で頭を抱えてしまうだろう。ほかにも誤った態度で接すれば、バリーさんは大声をあげたり、怒鳴ったりすることもある。

VRのこうした活用法は、奇妙で、反ユートピア的にさえ思えるかもしれない。しかし、VRは、学習ツールとしての存在感を増してきている。学習に役立つ強い現実感をもたらすことができ、他の方法では不可能かもしれないようなことを練習できるからだ。VRは、たとえば、危険な職務に従事する方法について教えるのに使われているが、ウォルマートやチポトレ(Chipotle、米国のメキシカンフード・チェーン店)などの現場で新人研修に使われることも増えている。

こうした傾向は今後数年で、オフィスにも拡がることが予想できる。テイルスピンのカイル・ジャクソンCEO(最高経営責任者)は、「少し挙げるだけでも、面接スキルや難しい会話への対処法、コンサルティング販売、勤務評価、多様性と包摂性に関するベストプラクティスの確認といったテーマについて、訓練プログラムの開発に関する問い合わせを頻繁に受けています」と語る。

コンピューターやアルゴリズムは現在、労働者の作業量や実積を監視するためにしばしば使われている。ソーシャルスキルや感情に関するスキルについては自動化の広がりから無縁だと思われてきたが、バリーさんの例を考えるとそうではないかもしれない。「仕事の未来において何が必要か議論される際、いかなる組織でもソフト・スキルは最も重要とされています。近い将来こうしたことが低調になるとは考えられません」(ジャクソンCEO)。

ご想像の通り、バリーさんや他のVRの登場人物の難点は、彼らがどれほど真に迫っているかによって、その効果が限定されることだ。ジャクソンCEOによると、バリーさんはアバターにしては非常にリアルだが、一定の台本に沿って発言するので、極めて自然なかたちで意思疎通できるわけではなく、それゆえ迫真性には限界がある。

機械学習アルゴリズムを活用したアバターであれば、より自然に振る舞えるだろう。と言っても、こうした登場人物たちが現実に近い恰好で身振りをしたり、反応したりするようになるのは、ずっと先になるだろう。VRのリハビリテーションへの応用を専門とするノースウェスタン大学のダニエル・ルバック助教授は、 「本物の人ではないと感じられている限り、移行は難しいかもしれません」と述べる。

ウィル ナイト [Will Knight] 2019.08.11, 15:33
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