ボルドーの伝統的なぶどう園が農業ロボットを採用
世界で最も伝統的なワイナリーでさえ、ロボットの魅力に抗うことはできない。
MITテクノロジーレビューでは以前、ぶどうの収穫性を向上させ、より良いワインを作るために、カリフォルニアのやり手のぶどう園主たちが最新のテクノロジーを取り入れていると紹介した。シリコンバレーに近接しているという土地柄や、多くの企業経営幹部たちがテクノロジー・ブームで得た富をナパ・ソノマのワイナリーに投資しているという事実を鑑みれば、驚くほどのことではない。
しかし、ヨーロッパとなると話は全く違う。「何世紀にも渡る伝統」というからには、ワインはほとんどが古き良き伝統工程にのっとって作られるべきなのである。高級ぶどう園ともなると特にそうだ。
ワイン専門メディアのデキャンター(Decanter) によると、世界で最も高名なワインメーカーであるシャトー・ムートン・ロートシルトが現在ロボットを試用中であるという。ボルドーの「シャトー・クレール・ミロン」の地所で、テッドという名前のロボットのテストをしている(上の写真)。テッドは車輪であたりを動き回り、土壌を耕し、雑草を根こそぎ取り除く。
「ぶどう園での作業において最も気にかけているのは働く人たちの作業環境です」とシャトー・ムートン・ロートシルトのフィリップ・ダルイン取締役はいう。「テッドは、人間が反復作業に割く労力を減らしてくれるでしょう」。しかしダルイン取締役は「ロボットが人間に取って代わることは決してありません。人手をかけることは、完璧で高品質な収穫には不可欠なのです」 とも付け加えた。
デキャンタによると、高級ポートワイン生産者であるポルトガルのシミントン・ファミリー・エステーツ(Symington Family Estates)もロボットを試用中であるという。「バイン・スカウト(Vine Scout)」 ロボットがぶどう園を自律的に動き回り、ぶどうが健康に育っているかどうかをチェックしているそうだ。
こうした動きは、伝統をかたくなに守る人々でさえ今や、ロボットを受け入れつつあることを物語っている。
- 参照元: Decanter