ウーバーが自動運転トラック部門を閉鎖、開発撤退へ
7月30日、ウーバーは自動運転トラックのプロジェクトを中止すると発表した。ウーバーは自動運転トラックのスタートアップ企業、オットー(Otto)を2016年に買収して以来、自動運転テクノロジーを追求してきた。
自動運転トラックは自動運転車より早く実用化する可能性が高いと見られている。自律自動車にとってハイウェイの走行は街中の走行より容易なので、長距離トラックは比較的簡単な挑戦となる。それにトラック運転手はタクシー運転手より置き換えが容易だ。MITテクノロジーレビューは「2017年版ブレークスルー・テクノロジー10」の1つに自動運転トラックを挙げた。オットーの共同創業者リア・ロンは昨年、10年以内にトラックで人工知能(AI)が広く使われるようになるとの予測も披露している。
ウーバーとオットーには多くの問題が発生した。ウーバーはオットーを買収して間もなく、アルファベット(グーグル)に訴えられた。ウーバーがアルファベット傘下の自動運転部門であるウェイモ(Waymo)の企業秘密を盗んだというのだ。訴訟は今年2月、ウーバーが2億5000万ドル分の株を譲渡することで和解に至った。それからわずか数週間後、ウーバーの自動運転車が歩行者にぶつかり、死亡事故が起こった。
自動運転車の公道試験を中止したウーバーは、困難な見通しに直面している。自律運転トラック部門を閉鎖することで、自律自動車の改良に集中する。ウーバーの先端技術グループを率いるエリック・メイホファーは、「当社全体のチームのエネルギーや専門性をこの分野に集中させることが最も良い方法だと考えています」とテッククランチ(TechCrunch)に送ったメールの声明で述べている。
何よりもウーバーは、トラック業界で失った信頼を取り戻さなくてはならなかった。トラック業界は、職を失う従業員のことを心配し、新しいテクノロジーの受け入れにあまり乗り気ではない。ただ、オットーが閉鎖されたからといって、トラック運転手が警戒を解くことはないだろう。大手の1つが競争から脱落しただけで、テスラやボルボ、ピータービルト(Peterbilt)、ダイムラーは依然として、自動運転トラックのテクノロジーを推進している。
- 参照元: TechCrunch