温室効果ガスの「正味ゼロ」は2050年までに達成可能、英委員会
英国の気候変動委員会が発表した新しい報告書によると、地球温暖化ガスの「正味ゼロ(排出した分だけ回収してプラスマイナスゼロにすること)」目標は、30年後には既存テクノロジーで達成可能だという。
英国は2008年、気候変動法の一環として、2050年までに温室効果ガス排出量を80%削減することを定めた。今回の報告書を作成した気候変動委員会は、より野心的な新しい目標は、以前作成した予算案を超過することなく達成可能であり、できる限り速やかに法案を成立させるべきだと述べている。
以前とは何が変わったのだろうか? 政府の補助金のおかげもあって、再生可能エネルギーの価格は大幅に低下している。さらに、気候変動問題を考慮して、必要とあらば大きな変化を受け入れる国民意識が高まっていると、報告書を作成したクリス・スターク委員長は述べた。
同委員会は、今回の目標が野心的であると認める一方で、温室効果ガス排出量をゼロにする具体的な手段を示している。たとえば、政府と産業界が、低炭素発電に加えて、二酸化炭素の回収・貯蔵テクノロジーを導入することだ。報告書ではさらに、家屋の断熱性改善、電気自動車への切り替え、大規模な森林再生計画も求めている。個人ができる対策としては、肉の消費を減らすことと、家庭の室温設定を19度に下げることを提案している。
委員会の発表によると、現在は「全世界が協力して気候変動に取り組む重要な時期」だという。地球温暖化の影響で、産業革命前に比べて気温がすでに1度上昇していることは次第に明らかになっている。壊滅的な気候変動を避けるためには、1.5度を上回る気温上昇があってはならないと報告書は付け加えている。諸外国がこの目標の採択に同意するならば、このレベルを維持できる可能性がある。