ボーダフォンも「リブラ」から離脱、2020年の発行に暗雲
英国の大手通信会社ボーダフォンがリブラ協会を脱退したことを受け、デジタル通貨「リブラ(Libra)」が予定通りに発行されるか、懸念が高まっている。
フェイスブックが2019年6月に発表したリブラのビジョンは、世界中で「金融包摂」を促進することだった。リブラ・プラットフォームを運営する目的でフェイスブックが設立した非営利団体のリブラ協会には、当初28社が参加していた。その後、10月にペイパル(PayPal)が脱退したのを皮切りに、ビザ(Visa)、マスターカード、イーベイ(eBay)、ストライプ(Stripe)などの大手企業が次々とリブラから離脱。ボーダフォンは2020年になって初めて協会を脱退した企業となる。ウーバー、リフト、スポティファイ(Spotify)などの企業は、引き続きリブラ協会に留まっている。
コインデスク(CoinDesk)の報道によると、ボーダフォンはリブラに投資する予定だった資金を、アフリカ諸国やアフガニスタン、インド、ルーマニアなどですでに確立されているデジタル決済プラットフォーム「Mペサ(M-Pesa)」に充てる計画だという。 リブラがMペサに対抗する可能性があるかどうかは、現時点では明らかではない。
リブラは発表当初から世界中の政治家たちの懐疑的な見方と抵抗に直面しており、どのように規制すべきか、政策立案者らは確信が持てていない。こうした世間からの反発が、著名企業が協会から相次いで離脱する原因となった可能性がある。フェイスブックは参加企業を合計100社にまで増やし、2020年内のリブラの発行を目標としているものの、同社自身が認めているとおり、期限内に目標を達成できるかどうかは不透明だ。
それでも、リブラ協会は一貫して計画に問題はなく、発行前に規制当局の承認を得るための時間が必要だと説明している。発行までには合計100社が参加することを引き続き見込む。リブラ協会は2019年10月には、1500社以上が参加に興味を示していると述べている。