中国の新型コロナウイルス、コウモリが感染源か
中国で感染が拡大している新型ウイルスは、SARS(重症急性呼吸器症候群)と類似しており、コウモリから見つかったコロナウイルスに最も近いとする研究結果が発表された。
武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute for Virology)のチェンリー・シー(石正麗)博士が率いる研究チームは1月23日、新型ウイルスについて初めて詳細に説明し、細胞に感染するウイルスの写真を含む論文を発表した。
同研究チームによると、新型ウイルス「nCoV-2019」は2003年に世界各地で感染が広がったSARSのコロナウイルスと類似しており、SARSの場合と同じ受容体(レセプター)を用いて人の肺細胞に侵入することが明らかになった。
昨年12月中旬に始まった今回の新型肺炎の流行により、すでに500人以上の感染者と複数の死者が出ている。1100万人都市である武漢市の野生動物市場が感染源である可能性があり、中国当局は現在、武漢市を封鎖している。
野生動物が食品市場で飼われていたり売られていたりする場合などには特に、ウイルスは動物から人に伝染することがある。今回の武漢市のケースがこれに該当するといわれている。
研究者たちが新型ウイルスの遺伝子配列を解析し、大規模な遺伝子データベースと照らし合わせて、既存のどのウイルスに最も類似しているかを調べるのに、あまり時間はかからなかった。すでに武漢市、深セン市、他の都市の少なくとも24人の患者からウイルスが採取されているからだ。
中国の別の研究チームは先週、ヘビがウイルスの感染源である可能性について述べたが、広く報じられたその研究結果は誤りである可能性が高いと見られている。新たな分析結果によると、新型ウイルスの遺伝子構造は、コウモリから見つかったコロナウイルスの遺伝子構造と96%一致しているという。「ヘビが新型ウイルスの感染源だとは考えられません」とノースカロライナ大学のウイルス学者であるティモシー・シーハン助教授は述べる。SARSも元々の感染源はコウモリだったと科学者たちは考えている。