KADOKAWA Technology Review
×

ニューズラインエマージング・テクノロジーの最新情報をお届け。

バージン、初の有人宇宙飛行に成功
Virgin Galactic
Virgin Galactic has reached suborbital space for the first time

バージン、初の有人宇宙飛行に成功

会社設立から14年、バージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)がついに宇宙空間に到達した。

バージン・ギャラクティックのツイッターによると、同社の準軌道(軌道に乗らない)宇宙船「スペースシップ・ツー(SpaceShipTwo)」は高度82.68キロメートルに到達したとのことだ。この高度は米軍が宇宙と定義している高度80キロメートルを上回るもので、米国航空宇宙局(NASA)が宇宙との境界として設定している高度だ(付け加えると、搭乗パイロット2人が米国連邦航空局 (FAA)の商業宇宙飛行士の資格を取得するに十分な高さでもある)。ただし、地球上空100キロメートルという、国際航空連盟(FAI)が定めた地球の大気圏と宇宙の境界線「カーマン・ライン」には届いていない。飛行にはNASAのペイロード(積載物)も搭載しており、バージン・ギャラクティックにとっては初の収益となる。

今回の飛行は、VVSSユニティ(VSS Unity)と呼ばれる、バージン・ギャラクティックのスペースシップ・ツーの4回目の動力飛行試験であり、2018年7月以来の飛行となる。これまでの飛行時の燃焼時間よりも長い60秒間、ロケットエンジンを燃焼させ、これまでの最高飛行高度である52キロメートルを大幅に上回る高度を飛行した。

今回の飛行に漕ぎつけるまで、多大なる失敗を克服することはもちろん、細心の計画と設計、エンジニアリング作業に長い年月が費やされてきた。VSSユニティの旧バージョン「VSSエンタープライズ(VSS Enterprise)」は、2014年10月に墜落して死者を出し、大破した。バージン・ギャラクティックはまた、イーロン・マスク率いるスペースX(SpaceX)やジェフ・ベゾス率いるブルーオリジン(Blue Origin)などと、富裕層向け宇宙観光飛行の提供をめぐって競い合っている。

初となる宇宙到達は、何年間にも渡って 「もうすぐ」宇宙に行けるようになると約束し続けてきたバージン・ギャラクティックにとって重要な出来事だ。 ただし、準軌道飛行は軌道飛行と比べれば必要な能力は少ない。宇宙旅行の可能性を切り拓く偉業ではあるものの、 スペースXやボーイングが来年実現しようとしている商業乗員輸送とは大きく異なるものだ。

エリン・ウィニック [Erin Winick] 2018.12.14, 9:56
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューは有料会員制サイトです
有料会員になると、毎月150本以上更新されるオリジナル記事が読み放題!
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る