KADOKAWA Technology Review
×

ニューズラインエマージング・テクノロジーの最新情報をお届け。

ベネズエラ、米国による経済制裁の回避にビットコインを利用か
Associated Press
Venezuela may be turning to Bitcoin to get around sanctions

ベネズエラ、米国による経済制裁の回避にビットコインを利用か

ベネズエラの国営石油会社であるペトロレオス・デ・ベネズエラ(PDVSA)は、ビットコインを同国の中央銀行に送金したいと考えている。ベネズエラの中央銀行は現在、準備金として暗号通貨を保有できるかどうかを調べるためのテストを実施しているところだ。ブルームバーグの最新レポートが伝えた。

米国の制裁によってベネズエラは世界の金融システムから隔離されてしまった。そのため、ニコラス・マドゥロ大統領の政権はお金を世界中に移動させる方法を新しく模索せざるを得なくなった。たとえば昨年には、世界初の官製暗号通貨であるペトロ(petro)の立ち上げを試みた(そして失敗した)。最近、マドゥロ政権が、ペトロとは別の構想を考案したことが報告された。その構想とは、まず通貨をビットコインに交換することで航空税をドルに交換するというものである。

ブルームバーグによると、PDVSAがどのようにして暗号通貨を取得したのか、またどのくらい保有しているかについては不明だという。ただ同社が暗号通貨に頼ることにした背景には、制裁により従来のチャネルを使って支払いを受け取ることが困難になった事情があると考えられる。

中央銀行が関わっている理由ははっきりとは分からないが、PDVSAは自社保有のデジタルコインを公開市場で売ることを避けたがっているのではないか、とブルームバーグは推測している。どうやら、中央銀行が暗号通貨を使い、PDVSAの持つ現金を決済相手に支払ってくれることを期待しているようだ。

ドルは世界で最も人気のある準備通貨である。すなわち、他の国々はドルを使用して国際貿易に参加しており、ドルベースの金融システムを利用できない国は貿易参加に苦労している。ビットコインのようなデジタル通貨は、それを変える可能性がある。

 

マイク オルカット [Mike Orcutt] 2019.10.01, 13:10
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューは有料会員制サイトです
有料会員になると、毎月150本以上更新されるオリジナル記事が読み放題!
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る