米議会がアップル・FBにバックドア設置を要求、「法制化」脅しも
アップルとフェイスブックの代表者は12月10日、ワシントンD.C.で開催された委員会に出席した。暗号化されたデータに合法的にアクセスできるバックドア(裏口)を設けるよう両社に要求している米上院議員たちに対応するためだ。
「犯罪捜査の妨げとなるため、企業は裁判所の許可のもとで司法当局が利用できる特別なアクセス方法を設けるべきだ」。米国政府は長らくこう主張してきた。テクノロジストたちは、バックドアを作れば、デジタル・セキュリティの弱体化を招いてしまうと述べている。
それでも議論は白熱している。米上院のリンゼー・グラム議員は12月10日の上院司法委員会の公聴会で、アップルとフェイスブックの両社に対し、「私からの助言は、すぐに行動を開始すべきだということです。なぜなら、来年の今頃に適切な方法が見つかっていないようなら、我々の要望を通すことになるからです」と語った。公聴会に出席したアップルとフェイスブックの代表は、両党の上院議員たちから集中砲火を浴びた。公聴会には、マンハッタン地区検事長であり、バックドア設置の最大の支持者の一人であるサイ・バンスが最重要証人として出席していたのだ。
アップルとフェイスブックは委員たちに対し、バックドアはプライバシーとセキュリティの大きな脅威となるものであり、もし設置したら他国のデバイスにユーザーが移ってしまうだろうと述べた。「善良な人だけが利用可能なバックドアを作る方法は、現時点では見つけられていません」と、アップルのユーザー・プライバシー責任者であるエリック・ノイエンシュワンダーは述べた。
フェイスブックはさらに反抗的だ。公聴会の開かれる少し前、ウィリアム・バー司法長官に対し、何十億人ものユーザーを抱えるフェイスブック・メッセンジャーやワッツアップ(Whatsapp)の暗号化されたメッセージへのアクセス権限を司法当局に与えるつもりはないと述べた。
できるものなら法制化してみろと言うのは、グラム上院議員に対する安直かつ強力な脅し文句だが、実際にバックドアに関して法制度化を進めることは、誰が勝つとも分からない戦いの始まりとなるだろう。議員たちの何人かは、この件に関して米国議会が来年中に大きな進展を遂げることはないだろうとの見方を示した。