米議会がFBの暗号通貨に猛反発、禁止令案の提出も
新しいデジタル通貨「リブラ(Libra)」を作るというフェイスブックの計画が今週末、ワシントンで脚光を浴びることになりそうだ。米議会で開かれる予定の2つの公聴会が大きく注目されているためだ。下院にはリブラを直ちに阻止するような法案を提出しようと準備している議員らもおり、公聴会の前に議会の論調はすでに定まっているかもしれない。
下院金融サービス委員会は17日にリブラを焦点に当てた公聴会を開く予定だ。だが、ロイター通信によると、それを前に同委員会の民主党員らが「金融から巨大テック企業を排除する法(Keep Big Tech Out of Finance Act)」と題する法案を回覧したという。法案は、「主としてオンライン・プラットフォーム・サービスを提供し、年間売上高が250億ドル以上の企業」によるデジタル資産の発行を禁止しようというものだ(フェイスブックの昨年の売上高は550億ドル以上)。
ここまでの徹底した全面禁止は、おそらく議会を通過するのが難しいだろう。だが法案の真の目的は、フェイスブックなどのテック企業に対して、本気で自分たちの貨幣を作るつもりなら、どんな困難に直面するか覚悟しろ、というメッセージを送ることではないか。
また、リブラに対して有力な米政治家たちから持ち上がっていた反発が、ここになってますます勢いを増したということなのかもしれない。すでに下院金融サービス委員会の議長であるマキシン・ウォーターズ議員はフェイスブックに対し、議会が同社の通貨について精査するまでプロジェクトを一時中断するよう要請しているし、ドナルド・トランプ大統領ですら最近のツイートの中でリブラを米ドルに対する脅威と決めつけ、リブラへの反対を表明している。
フェイスブックのブロックチェーン・プロジェクトを率いるデビッド・マーカスは公聴会で徹底的な質問攻めにあうことが予想される。同氏は下院に先立ち、火曜日には上院銀行委員会の公聴会にも出席することになっている。
マーカスは、リブラがどのような仕組みで機能することになるかについて、金融と技術の両面での詳しい説明を迫られることになるだろう。フェイスブックのプライバシーに関する実績について、もう一度謝罪しなければならない可能性も高い。 さらには、大手テック企業によるデジタル通貨の作成を禁止しないように議会を説得すらしなければならないかもしれない。マーカスには大きなプレッシャーがかかっている。