トランプ陣営のデマ広告、削除に応じず=フェイスブック
フェイスブックとツイッターは、たとえ内容が誤りであっても、トランプ大統領の再選キャンペーンで使われている広告の削除を拒否するポリシーを貫いている。
ジョー・バイデン前副大統領の大統領選本部は、バイデン前副大統領がウクライナに圧力をかけ、息子のハンター・バイデンの疑惑に関わった検察官を解任させるよう強要したとの広告を取り下げるようフェイスブックとツイッターに要請した。バイデン前副大統領が検察官を解任させたとの主張は、根拠のない陰謀論としてマスコミや共和党の政治家からも非難されている。だが、フェイスブックやツイッターは広告を削除する気はないようだ。自社のポリシーに違反していないからだ。
フェイスブックのコミュニケーション責任者であるニック・クレッグは、フェイスブックは政治家の広告のファクトチェックはしないと述べている。フェイスブックが繰り返し述べてきたスタンスだ。フェイスブックのケイティ・ハーバー公共政策担当部長は、バイデン陣営の要請に対して「政治家が広告やWebサイトで直接述べたことであれば、第三者のファクトチェック・プログラムにかけることはありません」と文書で回答している。
ハーバー公共政策担当部長はさらに、「これらのポリシーは政治家からのオーガニックな投稿(通常の投稿)および有料コンテンツに適用され、要請書の中で参照しているトランプ大統領の広告も含まれます」と記している。
別の言い方をすれば、コンテンツが虚偽であろうと、政治家または選挙陣営が発言しているという事実に報道価値があり、そのフェクトチェックはされない。フェイスブックによれば、政治家によって共有されたデマウイルスのようなものは順位が下がり、ファクトチェック情報が表示されて広告からも排除される。ポリシーにおけるこの格差が、控えめに言っても混乱を招いている。
一方、ツイッターはザ・バージ(The Verge)に対し、トランプ大統領の広告は「当社のポリシーに違反していない」ということ以上は明らかにしていない。
政治家はフェイスブックにとって大口顧客だ。フェイスブックの広告アーカイブからデータを取得したガーディアン紙によると、トランプ陣営は大統領選の選挙活動だけでも2019年9月18日から5883種類の広告を配信しており、130万~380万ドルを支出しているという。
2020年の選挙まであと1年余りとなったが、意図的なデマの拡散の問題は消えそうにない。特に、フェイスブックやツイッターのポリシーにこれほど明らかな抜け穴があり、どんなデマでも共有が許されているなら事態は悪化するばかりだ。フェイスブックやツイッターはこの問題の対処に適任だろうか? もう1人の2020年民主党指名候補、エリザベス・ウォーレン上院議員は明らかにそう思っていないようだ。
ウォーレン上院議員は、フェイスブックは「候補者が意図的に米国民に嘘をつくことを故意に許可しています」と述べた。フェイスブックやツイッターの両プラットフォーム上で誤った主張が広がるにつれ、両者のポリシーはますます非難の嵐に直面することになりそうだ。