トランプ大統領が石油・天然ガス業界への支援を表明、新型コロナ対策で
原油価格の急落と新型コロナウイルスの大流行によって石油・天然ガス業界が打撃を受ける中、トランプ政権がこれらの業界の米国企業に対し、緊急支援策の推進を「積極的に検討」しているとワシントンポスト紙が伝えた。
ワシントンポスト紙はホワイトハウスの内情に詳しい情報筋の話として、緊急支援策は政府によるシェール掘削会社への低金利貸付という形になりそうだと報じている。大きな債務を抱え、民間資本の利用が難しくなっている石油・天然ガス業界に救いの手が差し伸べられることになる。今回のような歴史的な原油価格暴落が続けば米大手が生存競争にさらされる、とアナリストらは述べている。
石油・天然ガス業界への緊急支援策の提案に対しては、気候やエネルギーの観測筋からすぐさま批判が巻き起こった。連邦政府のエネルギー分野への援助は化石燃料業界を支えるのではなく、気候リスクとの戦いを支援するようなクリーンな技術に向けられるべきだとの主張だ。
2008年に金融危機が起きた際、オバマ政権は再生エネルギー企業への支援策を発表して保守層からの批判にさらされたが、今回の支援策を支持する共和党の姿はちょうどその対極に当たる。
トランプ大統領は3月9日、公衆衛生の危機拡大のあおりを受けている他の業界(航空、クルーズ船、ホテルなど)について支援すると発表したが、今回の石油・ガス業界に関する提案はそれに続くものだ。超党派の気候・クリーンエネルギー法案を通過させる取り組みが、崩壊しそうな様相を呈しているタイミングでもあった。
新型コロナウイルスの拡散防止では積極性を見せていないにもかかわらず、トランプ政権は企業救済にすみやかに乗り出している。中国でのアウトブレイクの後も、連邦政府は来る危機への準備を全体として怠ったと保健の専門家たちは述べている。何よりも、米国の検査体制は他国と比べて大きく遅れている。トランプ大統領自身が一貫してリスクを軽視し、誤ったアドバイスや情報を拡散させているのだ。