HIV感染を防ぐインプラント、メルクが試作
小さなインプラント(埋め込み機器)でヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染を1年間防げるかもしれない。ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。
このインプラントは、マッチ棒サイズのプラスチック製チューブで、腕の皮下に挿入し、抗HIV薬をゆっくりと放出していく。
HIVを持っていない人でも、抗HIV薬を毎日服用し続けることで感染を予防できる。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、このような「PrEP(プレップ:曝露前予防内服)」はHIV感染のリスクが高い人のためのものだ。
HIV予防インプラントのアイデアは、プレップの簡易化を目的としている。数カ月かけて少しずつ抗HIV薬を放出するので、薬の定期的な服用の煩わしさから解放される。避妊用インプラントと同様のアイデアだ。
メルク(Merck)が開発したこの装置は、12人の男性を対象にした3カ月間の予備試験が実施された段階だ。試験では、イスラトラビル(Islatravir)という長期間作用する抗HIV試験薬が使われた。メルクは7月23日、メキシコシティで開催されたHIVに関する学術会議でプロトタイプを発表した。
ただし、プレップ薬によりHIVウイルス感染の心配から解放される一方、クラミジアや淋病など他の性感染症を頻繁に発症する可能性がある。これは、今年4月に発表された4375人の同性愛者およびバイセクシャルの男性を対象に実施したオーストラリアのある調査によって報告された。