配車サービスのドライバー収入が激減、兼業化にも拍車
乗客や物資を輸送するギグワーカーがかつてないほどに増えている一方で、ギグワーカーとして働くドライバーの収入が減少していることが新たな調査で判明した。
シンクタンクのJPモルガン・チェース研究所(JPMorgan Chase Institute)の報告書によると、運転に従事する労働者の平均月収は、2013年の1469ドルから2017年には783ドルに減少していることが分かった。一方、エアビーアンドビーの民泊ホストをはじめとするリース産業のギグワーカーの収入は69%増加していた。
この調査では、128のデジタル・ギグワーク・プラットフォームからチェース銀行の230万口座に対して支払われた3800万件の報酬を分析し、ギグワーク提供企業からの報酬支払いが時間の経過と共にどう変化したかを調べた。 なお、チェース銀行の顧客は概して若年層が多いため、今回の調査サンプルから算出された結果にわずかな偏りが見られる可能性があることを念頭に置くべきだ。
収入低下の原因は何だろうか。報告書によると、時給が潜在的に低下していること(配車サービスドライバーの正確な平均時給は未だ不明のままだ)、より多くのドライバーがより短い時間しか働けないようになっていること、増加した労働者を支えるほどにはドライバーへの需要が十分ではないことが原因だとしている。
こうしたことが原因で、運転の仕事は「過去5年間で、フルタイムの仕事へと置き換わる可能性がますます低くなりました。今まで以上に多くのドライバーが市場に参入しているからです」と報告書は述べている。実際、配車サービスの仕事にフルタイムで従事していたのは、調査対象の配車サービスのドライバーのうち、わずか12.5%だったことも明らかとなっている。大半のギグワーカーは、他の収入源から収入を補完する必要があるのだ。
ギグエコノミーの規模が論議の的となる一方で、業界の低賃金化が広範囲の人々の暮らしに悪影響を及ぼすであろうことは明白だ。