米国防総省が最大1200基の衛星打ち上げを計画、極超音速兵器に対抗
米国防総省は、地球低軌道におけるミサイル防衛システムや他の軍事用途を強化する衛星コンステレーション(人工衛星群)の開発と配備を目指している。
米軍全体で取り組む宇宙関連プロジェクトを指揮するために3月に設立した宇宙開発庁(SDA:Space Development Agency)が、「国家防衛宇宙体系(National Defense Space Architecture)」の制定を提案しているとブルームバーグが報じた。最大1200基もの人工衛星で構成するこのシステムは、複数の層の衛星コンステレーションを形成する。衛星コンステレーションは、中国やロシアのような国家が極超音速兵器(音速の5倍での飛行が可能)を使った攻撃を始めた場合、米軍に警告を発するのに用いられる。米国防総省は、計画を実現するために予算案110億ドルを要求した。
同様の監視のために使用されている現在の衛星コンステレーションは、高高度の軌道を周回する数基の人工衛星だけで構成されている。より大規模な低軌道上のネットワークは、ミサイルの脅威をより高い信頼度で察知し、陸海空の防衛システムに対してより高速に情報を伝達できるとSDAは考えている。SDAは2022年までに20基の人工衛星を使用し、2025年までにシステムの中核を形成する250基の人工衛星の運用を目指している。ただし、SDAがどのように2025年までに複数の層から成るコンステレーションを軌道に打ち上げ、設置するのかについては、まだ疑問が残されている。
スペースX(SpaceX)やワンウェブ(OneWeb)など、米軍以外の多くのグループが独自の衛星コンステレーション・システムを開発しようとする中での今回の提案だ。しかし、SDAの提案は軍事目的で使用する大規模なコンステレーションの、初の主要な計画概要と考えられる。この計画は、他のコンステレーション計画と同様、さらに数千もの物体を宇宙に送り込むことは、人工衛星の衝突や損傷のリスクを増加させるだけだとの懸念を煽るだろう。