フェイスブックの対応に非難の声、初の訴訟も
非常に奇異なことに、これまでの間、フェイスブックのCEO(最高経営責任者)はずっと沈黙を守ってきた。
まだ耳にしていない人に簡単に説明すると、フェイスブックはユーザー・データを選挙コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)と共有したことで、一大スキャンダルに巻き込まれている。ケンブリッジ・アナリティカは2016年の大統領選でトランプ陣営に情報を提供した企業だ。
3月21日、フェイスブックの元従業員であるサンディ・パラキラスが英国の国会で語ったところによると、同氏はフェイスブックのずさんなデータ保護基準について役員に警告したが無視され、当時の役員の一部はいまも在職しているという。ここまでの経緯について、3月21日のブルームバーグ・ビジネスウィークのカバーストーリーがデータ保護機関が必要なのか? という説得力のある議論を展開している。
3月20日夜には、フェイスブックとケンブリッジ・アナリティカに対する最初の訴状が提出された。近日中にさらなる提訴が相次ぐだろう。
ワッツアップ(WhatsApp)のブライアン・アクトン共同創業者(2014年、自社を渦中のフェイスブックに売却して巨万の富を得ている)は、世の中の人にフェイスブックをやめるよう呼びかけるキャンペーンを声高に繰り広げてきた。「今こそ#deletefacebook」とツイートした(フェイスブックをやめないなら、フェイスブックにいいように使われるのではなく、自分がフェイスブックを操ればいい)。
3月20日の社員総会にザッカーバーグCEOの姿はなかった。Webメディアのデイリー・ビーストによると、ザッカーバーグCEOは「休む間も無く動いている」という。米国と英国の政府はこの件に関する証拠の提出を求めているが、ザッカーバーグCEOは3月21日、「中堅社員」を送り込んで議会の証言台に立たせた。
3月21日夕方、マーク・ザッカーバーグCEOは自身のフェイスブック・ページに長文の謝罪文を掲載し、フェイスブック側の観点から見た事件の経緯を述べ、外部開発者からのデータ・アクセスについて調査する計画だと述べている。
評論家は、フェイスブックのこれまでの対処は非常にまずかったと話している(フェイスブックの株価参照)。
フェイスブックのあらゆるスキャンダルは、どれも抜本的な改革が必要だと思われるが、まだ実行されていない。ひと言釘を刺しておくと、巨大なソーシャル・ネットワークになっているフェイスブックに対して、政治家はより疑い深くなっている。だからこそ、これまでとは異なる対処が必要になるはずだ。