KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中

ニューズラインエマージング・テクノロジーの最新情報をお届け。

豊橋技科大提供
The invisible man makes a new market of VR

「手足だけ」で身体所有感、VR教育に新たな可能性

人間の脳は視覚による情報だけで意外と簡単に騙される。実質現実(VR)のゴーグルを付けて高いところから落ちる映像を見ると、本当に落ちているかのような恐怖とともに身体が宙を舞っているかのような浮遊感を感じる。実際には自分の身体ではないにも関わらず、VR空間では身体の動きと同期したアバターに「身体所有感」を感じてしまうのだ。

豊橋技術科学大学と東京大学、慶應義塾大学の共同研究チームが実施した実験によると、VR空間では「手袋と靴下」が自分の手足と同期して動いているだけでも、自分の身体だと感じることが明らかになった。実態が見えない透明人間の身体であっても、手足の動きが自分の身体と同じならば、身体所有感を錯覚するという発見である

共同研究チームはこの発見によって、透明人間のアバターを技能伝承やスポーツ指導などに活用できると考えている。他人の手足の動きと自分の身体とを重ね合わせることで、まるで自分の身体が動いているように感じ、他人の複雑な動きを学習しやすくなるという。

VR研修は医療や接客などさまざまな現場で導入されており、エンターテインメント以外ではVRの主要な用途の1つとなってきている。今回の研究は、研修や教育分野でのVRの活用をさらに後押しするものになりそうだ。

元田光一 [Koichi Motoda] 2018.08.14, 5:59
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューは有料会員制サイトです
有料会員になると、毎月150本以上更新されるオリジナル記事が読み放題!
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る