EUがテロ容疑者の10日以内のデータ提出を義務付けへ、国外も対象
欧州委員会は、テック企業に対して非常に厳しい期限を課した上でデータを要求する権限を裁判官に与える新たな法案を作成した。
ガーディアンの報道によると、新法案では裁判所はテロ容疑者の電子メールやテキスト・メッセージなどのデータを世界中のどこに保管されていても要求できるという。同時に、企業に対して特定の種類のデータの削除を禁じる。
データの提出期限は10日以内が原則で、緊急時には6時間以内に短縮できる(現行規則での期限は120日以上)。提出を命じられた企業が法令に基づき、異議を唱えることは可能だ。
「犯罪者は最先端のテクノロジーをすばやく利用します」と欧州委員会のベラ・ヨウロバー委員(司法担当)は声明で述べた。「犯罪者が21世紀のやり方で犯罪を犯すように、司法当局も21世紀のやり方で犯罪に取り組む方法を身につける必要があります」。
一方、非営利団体「欧州デジタル・ライツ(EDRi)」のマリヤン・フェルナンデス・ペレス上級政策アドバイザーはフィナンシャル・タイムズに対して「企業が市民のデータの提出を強要されれば、私たちの権利は危険にさらされます」と述べた。「各国は国民の基本的権利を尊重して守るための法的な義務がありますが、企業にはそのような法的義務はありません」。
テック企業はしばしば熱心に、そして迅速に働く。だが、6時間という期限は、データを提出するにあたって適切な注意を払うのに十分な時間かどうか。議論を呼びそうだ。
法案は今後、欧州議会とEU加盟国の採決に持ち込まれる予定だ。