ネット企業は対価支払え、「リンク税」含むEU著作権法改正案が可決
欧州議会は、EU著作権法改正案を可決した。新たな改正案は来年1月の最終投票を経て成立する。アーティストの多くはこの改正案を歓迎するが、自由なインターネットを主張する者にとっては好ましくない展開だ。
欧州議会は、438票中226票の賛成でこの改正案を可決した。改正案の目的は、アーティストやクリエイターの権利を保護することだ。一方で、「自由かつオープンなインターネット世界を制限することになる」と主張して改正案を批判する声もある。特に、改正案中の第11条(通称「リンク税」)、第13条(同「アップロード・フィルタ」)の2つが争点だ。
第11条では、ネット企業が報道機関のコンテンツを再利用する際、報道機関に対して著作権料を支払うことを義務付けている。13条は、ライセンスされていない歌やビデオなどの著作物を自動的にフィルタリングすることをネット企業に義務付けるものだ。これに対しては、「華麗な猫のミーム(brilliant cat memes)」といったユーザー発信型コンテンツの共有を実質的に妨げるものだという批判もある。
法案を巡る応酬は、変わった敵対関係を生み出した。ポール・マッカートニーのようなアーティストと、ウィキペディア創設者のジミー・ウェールズが敵対関係となったのだ。
改正案が初めて提案されたのは2016年のことだ。巨大ネット企業から資産を取り戻そうとするクリエイティブ業界を支援するために提案された。今年7月、欧州議会は著作権改正案を否決したが、改正案は放棄されたわけではなく、100カ所を超える修正を加えて再提出され、今回の可決に至った。
2019年1月には法案成立の是非を問う最終投票が実施される。今週可決された改正案には、最終投票に向けたさらなる微調整が必要とされるだろう。