暗号通貨業界には自主規制が必要、日本が前例に
暗号通貨が主流になりつつあることは疑わしいことだろうか? もしそう思ったなら、今週ニューヨーク市で開催中のコインデスク(CoinDesk)が主催している「コンセンサス・カンファレンス」に目を向けてみるべきだ。
魅力的なインターネット通貨に関するこのカンファレンスのチケットの売上は1700万ドル、参加者8500名(昨年は2700名)という数字は紛れもない現実だ。昨年までは本格的な盛り上がりを見せていなかった新規暗号通貨公開(ICO)やトークン販売の活況を反映していることは間違いない。
暗号通貨業界は急速に発展し、規制当局が追いつけないほど速いスピードで進んでおり、企業による自主規制が必要になる、と米商品先物取引委員会(CTFC)のブライアン・クインテンツ委員長は、カンファレンスの聴衆に向けて語った。
自主規制の1つの方法は、関係者自らが合意する規格や規則を考案するための業界主導の団体を組織することだろう。おそらく暗号通貨取引に関してウィンクルボス兄弟が最近提案したような組織のことだ。そうした組織は、規制機関が準備をしている間に、悪質な事業者やずさんな取引を市場から一掃できるかもしれない。
前例がある。今年初め、5億3000万ドルが奪われたコインチェック事件を受けて、日本の金融庁から認可を受けた16の暗号通貨取引業者がこの種の団体を立ち上げている。米国と異なり日本政府は、2016年から暗号通貨取引を規制している。だが、この短期間の中でさえ、法律は古くなってしまった。このところ特に喫緊の課題となっているセキュリティ要件やICOに関する条項が含まれていないのだ。
今後1~2年は法改正が見込めない中、新団体は2016年から運用されている法制度と、その後、新たに必要とされている追加修正とのすき間を埋めることを目的としている。日本の大手取引所ビットフライヤー(bitFlyer)の加納裕三CEO(最高経営責任者)は同カンファレンスで、取引の際にプライベート暗号鍵の安全性をどう確保するかといった課題に対して、最適な対処法を明確にするのに、こういった組織が役立つかもしれないと述べた。