またもや驚くべき運動能力を身につけたボストン・ダイナミクス
ボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)が開発した最先端の人型ロボット「アトラス(Atlas)」 が、 丸太を飛び越えたり、階段を跳ね上がったりとパルクールをこなしている。この姿を、私たちはどう捉えたら良いのだろうか。まずは、最先端型アトラスの全映像を見てほしい。
数年前に開催された大規模なロボット競技会で、アトラスを含む複数の人型ロボットが、転倒したり、倒れこんだり、頻繁に訳の分からない行動をしたりする姿を撮影した面白い映像を覚えているかもしれない。
では、アトラスに一体何が起こっているというのだろうか? 忍者のような敏捷性を突然身に着けたのだろうか? 正確に言うと、そうではない。
脚式ロボットにとって、実世界で移動することは、まだまだ非常に困難である。実際、2本足でバランスをとるだけでも、非常に高度な動的状態の検出技術と制御が必要なのだ。バランスを崩して転倒しやすいロボットたちは、バランスを取りながらドアを開けるといった2つ以上の動作を同時にしようとしたとき、非常に苦労していた。
冒頭で紹介した映像は、アトラスの最新バージョンが非常に見事な動的バランス機能を備えていることを示している。高度な動的バランス機能がなければ、足を素早く地面に置いたときに自然に発生するわずかなスリップに対処できないからだ。この動的バランス技術が、ボストン・ダイナミクスが優れたロボットを開発できる秘訣となっている。
ボストン・ダイナミクスの創業者であり、最高経営責任者(CEO)でもあるマーク・レイバート博士は、最先端型のアトラスには、跳躍する高さを都度判断できる今までにない検出機能をいくつか採用したと話す。「跳躍する高さを見積もるために、アトラスは自身に搭載された視覚システムを使用して、自分の姿勢を水平に調整し、障害物に近づく際に距離を測定します」とレイバート博士は説明する。
さらに、レイバート博士は、この新アトラスに新たなハードウェアをいくつか搭載したことを付け加えた。レイバート博士によると、新アトラスは、2017年に後方宙返りをやって見せたロボットよりも遥かに高性能になっているという。
確かに見事ではあるが、まだまだかなり整備された実験環境下でのパフォーマンスだ。それにアトラスはまだ、人間によるコントロールをかなり必要とする。それゆえ、この新しい映像は一見すばらしいものだが、アトラスを含むロボットは、不慣れで予測不可能な実世界においては、おそらく後ろから誰かを追いかけようとしても、つまずいて転倒する可能性が高いことを覚えておくと良いだろう。
それでも本当にロボットが怖い人は、常にドアを閉めておくと良い(もちろん、追いかけてくるのが このロボットではない場合に限るが)。