遺伝子編集ベビーへの関与なし、スタンフォード大が調査結果を発表
スタンフォード大学の3人の著名科学者は、初のクリスパー(CRISPR)ベビーを誕生させた中国人科学者のプロジェクトに「直接の関与」はなかったと、ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。
スタンフォード大学は、中国・南方科技大学の賀建奎(フー・ジェンクイ)元准教授が率いた世界初の遺伝子編集ベビーを誕生させたプロジェクトへの同大教授の関与について、調査を実施した。この調査は、MITテクノロジーレビューが初めて明らかにしたものだ(フー元准教授の研究について判明していることはこちらを参照)。
スタンフォード大学の調査により、3人の教授の不正行為の疑いは晴れた。対象となった教授の中で特に注目されたのは、フー元准教授がスタンフォード大学の研究員だった当時の指導教官・生物物理学者のステフェン・クエイク教授だ。スタフォード大学の報告によると、クエイク教授はフー元准教授が後に実施した遺伝子編集の実験を直接的に支援したわけではないという。スタンフォード大学は調査報告の中で、フー元准教授の研究に金銭的あるいは組織的なつながりを持つ教授はいなかったとしている。それどころか、クエイク教授はフー元准教授を説得してプロジェクトを断念させようとし、フー元准教授が研究を続行すると主張した後も適切な手順に従うよう促したという。
フー元准教授が2018年11月、遺伝子を編集したルルとナナという名の双子の誕生を発表して以来、研究について知っていた人物は何をすべきだったのか、科学界において問題が提起されてきた。スタンフォード大学の調査は終了したが、倫理的に問題のある研究を目の前にした時に科学者がすべきことについての疑問は、依然として残っている。