スペースXが大型ロケットの打ち上げに成功、宇宙開発の価格競争始まる
ファルコンヘビー(Falcon Heavy)の処女飛行の成功で、イーロン・マスクは自身のビジョンである安価な宇宙旅行へとさらに近づいた。
スペースXは2月6日、新型ロケット「ファルコンヘビー」の安全な打ち上げに成功した。マスクCEOが所有する乗用車「テスラロードスター」を含む実験用搭載物(ペイロード)を軌道に乗せ、3基のブースターのうちの2基を地上に着陸させることにも成功した。
ファルコンヘビーは従来に比べて安価に大量輸送が可能な大型ロケット。エコノミスト誌が報じるように、再生したロケットを使えば打ち上げ費用は1回あたり9000万ドルで済み、最大64トンの積載量を低周回軌道に投入できる。ファルコンヘビーが打ち上げに成功するまでもっとも強力なロケットだった「デルタIVヘビー(Delta IV Heavy)」の4分の1のコストであり、デルタIVヘビーの最大積載量はファルコンヘビーの半分に過ぎない。
ファルコンヘビーは、たとえば何組もの大規模なインターネット中継衛星を軌道に乗せたり、火星への補給品の発射を他のどのような方法よりも安価に実現できる。一方、米国航空宇宙局(NASA)が開発中の大型打ち上げ用ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS:Space Launch System)」の稼働は2020年以降の予定だ。
マスクCEOにはさらに大きな目標がある。スペースXは、ブースターを5基搭載したファルコンスーパーヘビーと、火星探査用のBFR(ビッグFなんとかロケット)を開発中だ。