スペースXのネット衛星群、3基と通信が途絶えるも「順調」
5月23日にブロードバンド通信網用コンステレーション(衛星群)「スターリンク(Starlink)」の最初の一群を打ち上げたスペースXが、その後の最新情報を提供した。
打ち上げた60基のうち、3基を除いた残り全基が同社の地上局と通信できているという。通信が途絶えた3基は今後も地球の軌道を周回し続けるが、やがて重力に引き寄せられて大気圏で燃えることになるだろう。
50基のうち45基の人工衛星については、軌道修正用の小型ロケットエンジンを使って、予定している高度550キロメートルまで到達させる。5基は現在まだ高度を上げている途中であり、さらに5基は高度をより上げる前の準備をしているところだ。
「スターリンクでは多くの新技術を使っていますから、一部の人工衛星がうまく機能しないこともあるでしょう」とスペースXのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は記者会見で語った。
通信できている衛星のうち2基は、「今後寿命がきたときの廃棄をシミュレーションするために意図的に軌道から外す」という。天文学などの科学観測を妨害する可能性があるという同社の人工衛星が放つ光の懸念については言及されなかった。
スターリンクは間もなく、ブロードバンド通信における人工衛星のシグナル伝達機能のテストを始める。具体的には、北米で動画やゲームを配信し、遅延時間と通信容量を調べる予定だ。
ワンウェブ(OneWeb)やテレサット(Telesat )といった競合他社もブロードバンド通信用の人工衛星を打ち上げているが、スペースXは米国連邦通信委員会(FCC)から「優先権」を得ている。つまり、地球低軌道(LEO)で他社の人工衛星の通信ネットワークと競合が生じたら、FCCが最初にスペースXの周波数を選ぶこともあり得るということだ。