大塚製薬のデジタル錠剤が米国で初承認、服薬状況をスマホで確認
米国食品医薬品局(FDA)は米国初のデジタル錠剤を承認した。大塚製薬などが開発したエビリファイ・マイサイト(Abilify MyCite)と呼ばれるこの錠剤は、統合失調症、場合によっては双極性障害(躁うつ病)の治療に使われる抗精神病薬だ。しかし、一般的な錠剤とは異なり、摂取可能な小さなセンサーが内部に組み込まれており、定期的に服薬状況をチェックできる。
服用すると、センサーは患者の身体に貼り付けたスマート・パッチのシグナル検出器に反応し、データをスマートフォンなどのデジタル端末に送る。患者が希望すれば、医師、看護師、あるいは家族と情報が共有され、服薬状況を確認できる。
このような仕組みは、記憶力が衰えた高齢者や薬の服用を忘れてしまいがちな症状の人の役立つだろう。実際のところ、飲み忘れなどによって処方通りに服薬しないことで、米国では年1000億ドルもの無駄なコストが発生している推定されており、医療費の軽減が期待されている。
デジタル治療にとって今回のFDAの承認は大きな意味がある。デジタル錠剤については少なくとも10年ほど前から記事にしてきた。つまり、承認はずいぶん前から待たれていたわけだ。しかし、このニュースを喜んでいない人もいる。ニューヨーク・タイムズによると、精神科医のピーター・クレイマー博士は「強制的な服薬手段になる可能性がある」とデジタル医薬品に対して注意を喚起し、プライバシーを侵害するかもしれない、と警告している。
- 参照元: FDA、New York Times