米国防総省のクラウド移行計画、単独契約に懸念の声
専門家の中から懸念の声が出ている。1社との単独契約では、軍の要求水準を満たせないだけでなく、国家安全保障上の問題が出る可能性があるからだ。
米国防総省は、軍のシステムをクラウドへ移行することを目下検討している。今後10年間に渡り、最大で100億ドルを超える規模の契約となる。軍事ニュース専門サイトであるディフェンス・ワン(Defense One)の記事によると、 某政府高官は「受注競争はアマゾン、マイクロソフト、グーグルの三つどもえとなりつつあり、オラクルがだいぶ離れて4番手にいます」と語っているという。
しかし、ニュースサイトのアクシオス(Axios)の報道では、複数の業界専門家から、クラウド移行計画に対する懸念の声が出ているという。1社の単独受注では、国防総省の求める基準を満たしたシステムが構築できない恐れが高いからだ。さらに、軍の全機密情報を1社の暗号化システムに格納するのは便利である半面、システムの脆弱性が発覚した場合、大問題になりかねないという。
一方で、伝えられるところによると、オラクルのサフラ・キャッツCEO(最高経営責任者)がドナルド・トランプ大統領に直訴し、クラウド・サービス・プロバイダーの選定作業が、アマゾンを優先した出来レースではないかとの懸念を伝えたという。トランプ大統領はそれに対し、選定プロセスが公平になされるよう望んでいると答えたようだ。複数の報道によると、トランプ大統領はアマゾンを「執拗に追い回し」ており、受注競争に影響が出る可能性は捨てきれない。
調達プロセスはまだ始まったばかりだ。国防総省が求める仕様を定めた最終草案は5月の公表される予定になっている。しかし、受注競争はし烈なものになり、えこひいきが起こる可能性は残る。