米SEC、「時代の寵児」米バイオベンチャーCEOを詐欺容疑で提訴
米国証券取引委員会(SEC)は窮地に立たされたバイオテクロノジー企業、セラノス(Theranos)とエリザベス・ホルムズCEO(最高経営責任者)、 ラメシュ・バルワニ元社長を巨額の詐欺容疑で提訴した。
数年前、セラノスはシリコンバレー発の将来有望なスタートアップ企業であり、若くカリスマ性のあるホルムズCEOは血液検査産業に革命的変化をもたらすと期待されていた。投資家はそのアイデアに乗り、2014年までの間にセラノスの時価評価額は90億ドルにまで膨らんだ。だが2015年、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の調査で、セラノスの血液検査技術の信ぴょう性に疑念が持ち上がった。
セラノスは当初、注射器での血液採取を必要とせず、指先に針を刺して採取するほんの数滴の血液で安価かつ簡単な血液検査を実現できると謳っていた。だが、同社が触れ込み通りの検査技術を開発したという証拠はほとんどなく、2016年の政府報告書によって同社に関する多数の問題点が明らかになっている。
SECは、セラノスが検査技術や事業内容、業績について誇張したり、虚偽の声明を発表する「何年にも渡る巧妙な詐欺行為」を通じ、投資家から7億ドル以上の資金を集めたとの声明を、3月14日に発表した。
セラノスとホルムズCEOは即日、SECとの和解に同意している。ホルムズCEOは罰金50万ドルを支払い、自らが創業した会社の経営権を奪われることになるほか、数百万のセラノス株を返還する。また、今後10年間は上場企業の役員に就くこともできない。