大統領選妨害のロシア人ハッカー、ビットコインで資金を調達
2016年の米国大統領選挙への介入を目的としたサイバー攻撃でロシアの諜報員12人が起訴された。7月13日付の起訴状には新たな詳細が数多く記されている。その中でも特にコンピューターに詳しい人々から注目されそうなのが、被告人らがビットコインを使ってサイバー攻撃の資金を得ていた疑いがある点だ。
米司法省の起訴状によると、被告人らは、ビットコインなど暗号通貨の取引サイトを通じて、9万5000ドル超を「ロンダリングしようと謀った」という。こうしたサイトでは、認知された匿名性に基づいておカネを得られる。被告人らは暗号通貨をマイニングし、「資金の出所を隠すためのさまざまな手段を使って」暗号通貨を入手していた疑いがある。入手した暗号通貨は、民主党職員やヒラリー・クリントンの選挙運動員などに対するサイバー攻撃の資金として使われた。
起訴状によると、ロシア人諜報員らは、何百もの異なる偽名の電子メール・アカウントを使用してビットコインの決済をし、痕跡を消そうとした。しかし、捜査官らの手により、「複数の専用メールアカウント」から送信されたメッセージと、ビットコインのブロックチェーン上で該当する取引が結びつけられた。起訴状によると、被告人らはさらに、「ハッキング活動をする」のに使ったコンピューターでビットコインの決済をすることもあったという。
暗号通貨がマネー・ロンダラーになろうとする人々を引き寄せているという主張に納得がいかなかった人にとって、今回の件は理解の助けとなるだろう。 だが、それよりも重要なことがある。ビットコインが匿名ではないということだ。ロバート・ミュラー特別検察官のチームによる捜査で明らかなように、インターネットの外側から得た手掛かりを使うことで、ブロックチェーン上の暗号通貨の流れを追跡し、取引に関わった個人を探し出せる可能性は極めて高いのである(「 ビットコインは「マネロンの温床」の汚名を返上できるか」を参照)。