ロシアが一時的な「ネット鎖国」を計画、軍事演習の一環で
ロシアはサイバー軍事演習の一環として、一時的にインターネットを遮断することを計画している。たとえ国境外諸国から切り離されたとしても、機能できることを確認するのが目的だ。
2月11日のZDネット(ZDNet)の報道によると、ロシア当局とインターネット・プロバイダー(ISP)らは、国民と組織との間で交信されるデータが国外へ配送されず、国内にとどまることを確認するための実験を計画している。実験の正確な日時は明らかにされていないが、2019年4月1日までに実施される予定だ。
実験の目的は、現在ロシア連邦議会で審議中の新法案が実際に機能するかどうかを試すことにある。新法は、たとえ外国の侵略者によってロシアが孤立したとしても、国内のISPが確実に機能し続けることを求めている。2018年12月に議会に提出された新法の実施に際しては、ロシアの通信会社がすべてのインターネット・トラフィックに対し、通信規制当局であるロシア連邦通信局(Roskomnadzor)の認可した相互接続点へと通信経路を変更できる必要がある。
ロシアのISPは法案には反対しないものの、実験を実施すればロシアのインターネット・トラフィックに大混乱を招くだろうとZDネットは指摘している。インターネットの遮断は高くつく。2016年の分析結果では、たとえ短時間であっても全国のオンライン活動を中断させると、国の経済に数十億ドル規模の損失を招くことが分かっている。
2017年にロシア当局は、国内の全インターネット・トラフィックの95%に対し、2020年までに国内の通信経路を整備する計画を発表した。計画は、中国と似たようなWebトラフィック・フィルタリング・システムの導入を目指すロシア政府の長年の取り組みの一環でもある。しかし、いまのところは断片的な取り組みに終わっている。ロシア連邦通信局が保持している禁止アプリやWebサイトのブラックリストには、リンクトイン(LinkedIn)やロシア企業のテレグラム(Telegram)が含まれる一方で、米国企業のワッツアップ(Whatsapp)やフェイスブック、グーグルは含まれていない。